エセエリートによる日々の考察

仮想通貨以外をカバーする。

Bruno Marsと青島ビール

長澤まさみと高橋一生の宇宙っぽいCMをご存知だろうか。dTV。僕はあのCMがモーレツに好きだ。二人の声が良い。コンセプトが良い。そして何よりテーマソングが良い。Bruno MarsTalking To The Moon”。

 

Talking To the Moon

Talking To the Moon

  • ブルーノ・マーズ
  • ポップ
  • ¥250
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もう一つモーレツに好きなものがある。「○○が流れる△△」。○○には音楽が入るし△△にはお店が入る。○○と△△の距離は離れていれば離れているだけ良い。クラシックが流れるコインランドリー。吉田拓郎が流れるワインバー。

 

先日Bruno Marsが流れる中華屋に行った。小籠包と青島ビールのためだ。

 

 

空き瓶と空き蒸籠がそれぞれ4つを超えた頃唐突に流れる”Talking To The Moon”。

 

たしかに悪い予感はあった。他に客がいない。繁華街の外れとはいえ。到着してすぐに青島、そして小籠包を1つ頼んだ。店側とのコミュニケーションはそれを境に途絶えた。いや正確には、注文という形での、より正確に言えば、会話という形での、コミュニケーションが途絶えた。最初の注文分を飲み、食べ終えた頃、青島の残量を確認し栓を抜く店員。満面の笑みだ。良い友人になれそう、そんな笑みだ。運ばれる小籠包。

 

青島は2本で良いし、小籠包もつまみ程度で良い。日曜日の14時半に、3つ目の青島もつまみ以上の小籠包も存在してはいけないと僕は思っている。我儘かもしれない。失望するだろうか。良い友人になれそうだったのに。いやまて。そもそも頼んでいない。一定の条件が整わなければ、注文していない品は供されてはいけないのだ。こちらに非はない。満面の笑みを消せ。



昔読んだ小説のワンシーンがフラッシュバックした。道を歩いて人にぶつかり謝らずに去っていく中年に対して、嫌な人だねって思うだけなのか、いやまて、あの人は大恋愛の末射止めた15歳下のモデル風かつ心もキレイな奥さんの出産に立ち会うべく不安な気持ちと嬉しい気持ちで溢れながら仕事で急いでいる風に急いでいてちょっとぶつかっちゃったけど状況的に相手もイーブンに悪かったし謝る余裕が全然なくて行ってしまった人かもしれないって思うのか、そんな感じのことを話すシーンだ。どっちかっていうと後者の心を持ちたいと感じた。



日曜の14時半に対する人の見方は色々だ。日曜の14時半には3つ目の青島もつまみ以上の小籠包も存在してはいけないと僕は思って、そうじゃない店員さんがいたってことだろう、どんな事情か考えてみよう。

いやまて。そもそも頼んでいないんだ。こちらに非はない。満面の笑みを消せ。

 

そしてまた青島の栓は抜かれる。

 


 

Talking To The Moon”はそんな時に流れた。




宇宙を感じた。どんな場所にいたって宇宙を感じさせてくれる歌が、月と地上の狭間にある繁華街の外れの中華屋で、大音量と中音量の狭間で、空き瓶と蒸籠の狭間を通って、宇宙を感じさせてくれた。日曜の14時半に、独り座る馬鹿な僕(a fool who sits alone)に。

その時分かった。彼は月に向かって話しかける代わりに、栓を抜いたんだ。

 

Doo-Wops & Hooligans

Doo-Wops & Hooligans

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